■ザウルスの外部モデム、外部アダプタの使い道

ザウルスで一般電話回線経由で通信する場合は内蔵モデム搭載機種ならそのまま電話回線に繋ぐことができますが、アイゲッティ(MI-P1/P2/P10)やMI-C1,MI-J1などのモデム非内蔵機種に関してはCFカードサイズのモデムを別途購入する必要があります。

カードモデム
CFカードモデム

CFカードサイズのモデムカードは1万円半ば程度で販売されています。

CFスロットを占有するためCFメモリカードと同時利用ができないという問題点があります。


一方、ザウルスのモデム設定には「外部PHSアダプタ」や」外部「携帯電話アダプタ」の指定ができます。

外部モデム
アイゲッティにおける外部モデムの例

これらはPHS用のCE-PA1/2/3や携帯電話用のCE-DA3/4/5のことを意味しているのですが、最近の機種ではこれらのアダプタが内蔵された状態(内蔵PHSモデム等)のため使う機会はあまりありません。

CE-PA1に関しては「CE-PA1解剖図」のほうに詳細な資料がありますが、アダプタ内部にはモデム相当の回路が組み込まれています。

CE-PA1
CE-PA1の中味

CE-PA1も一種のモデムなら何らかのコマンドで制御しているのではないか? 

そう考えて各種調査を行いCE-PA1の制御用コマンドの解析に成功しました。


■パソコンのモデムを乗っ取る

最近のパソコンであればモデムが内蔵されているか、外部モデムが接続されているでしょう。

一方ザウルスパワーコネクションなどを使っているとクレードルやケーブルもパソコンに接続されているはずです。

クレードルとモデムは直接的には接続されていませんが、同じパソコンに接続されています。

両者をソフト的に接続することができれば...

接続概念図
接続概念図

既にこの手のソフトは開発済みで、PIシリーズ時代のZauBASEシリーズには「シリアルポートリダイレクタ」というものがありました。

これはパソコンに搭載されているシリアルポートをソフト的に接続するものです。

COM1で受信したものをCOM2で送信、その逆というような単純なリダイレクタだったのですが、PIシリーズのモデムコマンドは単純かつ一般的だったため、そのままでもパソコンのモデムを利用することができました。

とことが、MIシリーズの「外部」は各アダプタ向けの特殊な初期化コマンドが使われているためほとんどのパソコン用モデムでは対応できないという状況でした。

そこで今回「乗っ取り君 for モデム」としてMIシリーズ向けの専用ソフトを開発しました。

乗っ取り君 for モデム
乗っ取り君 for モデム


■機能

乗っ取り君 for ザウルスの動作を時系列で表現すると以下のようになります。

ザウルス 方向 パソコン 方向 モデム
「外部」モデムに対する初期化コマンドを送出

コマンド受信処理    
CE-AP1が繋がっていると認識 初期化コマンドに対する適切な応答    
ダイヤルコマンド(電話番号) 電話番号部を抽出    
    モデムに対する初期化を開始  
    電話番号送信(ATDコマンド) 電話開始(プロバイダに接続)

以後パススルー

正常接続を確認 接続に成功したら"CONNECT"を返す
ログイン開始
コネクションID送信
プロバイダへコネクションID
  パスワード要求
パスワード送信  
  接続完了
IPアドレス等送信
ザウルスからの要求
インターネットからの応答
接続中止 接続中止状態を確認 インターネットから切断

■利用可能な環境

1.パソコン

2個以上のシリアルポートを持ち、モデムとザウルスを同時に接続できることが必要です。

高速通信時のリダイレクト処理はCPUパワーを必要とするためペンティアムの200MHzクラスが必要になるかもしれません。(動作確認はAMD K6-2 300、ペンティアム2 500MHz)

OSはWindws 98/NT 4.0での動作を確認済みです。

OSに依存する処理はありませんのでWindows 95/NT2000でも問題無く動作すると思われます。


2.ザウルス

MIシリーズのザウルス各機種に対応。 

内蔵モデムのある/無しにかかわらず利用可能です。

カラーザウルスには特別機能で対応しています。(ちょっと特殊)

ザウルスとパソコンを接続するためのケーブル(CE-150/155/170TS)または各機種用のクレードルが必要です。


3.モデム

モデムは一般的なパソコン用モデムなら利用可能と思われますが、9600bpsまでしか対応できていない古いモデムなどは利用できないかもしれません。

通信速度上限はエミュレートする対象のCE-PA1等の仕様から57600bps相当になりますが、パソコン側の処理速度が遅い場合はデータの取りこぼし等が発生する懸念があります。

ISDNターミナルアダプタに関しては手持ちのTM-AD1280を試してみましたが、プロバイダへの接続まではできるもののログインができない状況でした。(ザウルス側は「接続できません」と表示されます)


4.対応プロバイダ

ザウルスを使って接続可能なものならどこでも大丈夫なはずです。

NIFTYやパソコンネット接続機能が搭載されている機種の場合はその接続にも利用可能です。