■押さえどころ

カラーザウルスでデビューしたPIM(Personal Information Manager)機能やインターネット接続機能が初代パワーザウルスで改良され、ザウルスポケットで完成形となりパワーザウルス2で処理速度の高速化と相まってカラーザウルスが目指した「情報ファイル」による情報の統合化を実現したと言えます。

ここまでの道のりは平坦では無くシャープ(株)の努力もさることながらカラザウで人柱となり初代パワザウでバグや仕様的な問題を指摘したユーザーがいたからこそ改善が進んだとも言えます。

速度的な余裕とメモリ的な余裕が出てきたためパワザウ2では新たに地図ビューアとパーソナルデータベースが搭載され実用度が向上しました。

また、メニュー無いのアイコンの並べ替えや自分だけのメニューを作ることのできるオリジナルメニューなど使いやすさを向上させる機能が追加されています。

ユーザー待望のフル機能ロック(電源投入時にパスワードを入れないと利用できない機能)も搭載されています。


インデックスメニュー(製作中) インデックスメニュー上に登録されている各種機能を詳細に解説します。
通信メニュー(製作中) 通信メニュー上に登録されている各種機能を詳細に解説します。
MOREソフトメニュー(製作中) MOREソフトメニュー上に登録されている各種機能を詳細に解説します。

■パワーザウルスのPIM機能は使いやすいのか?

ザウルスのPIMに関してはPIシリーズに搭載されていたものでも十分実用的でした。

データ件数等に不満が出ることもありますが、ザウルスのPIMをはじめて使い、使い続けたユーザーにとって不満となる点は少ないと思います。

パワザウ2でもMS-Outlook97との間でデータ交換(シンクロ)して不満の出る状態にならないことから一般的なPIMというレベルはクリアできていると思われます。

ただし、PIMというものは十人十色なので100%満足できるものはなかなか得られません。


・アドレス帳

PIシリーズでは同じ住所を管理するにも名刺管理(主にビジネス向け)と電話帳1,2(主にプライベート用)と別れていることで統一的な管理がし難かったことや入力可能な項目数も少なかったことからメールやポケベル、携帯電話といった新しいメディアへの対応に面倒なものがありましたが、こちらもカラーザウルスの時点で改善がはかられてお、項目が定義できないという問題を除けば満足できる仕様だと思います。

アドレス帳から「コンタクト登録(会う、電話する、FAXする、メールするなど)」をすればスケジュールに反映するという方式は使い勝手を向上させていると考えます。

また、メール送信時にもメールID項目を自動参照する機能も使い易いきのうです。(ただし、これが仇となってアドレス帳に登録されていない人にメールを出す際の手間がかかります)


・スケジュール

月間、週間、日と通常必要となるスケジュールデータの見方には対応できています。

月間スケジュールの表示に関しては画面サイズの問題から文字による表示はできず、午前午後の色分けとアクションリストなどのアイコン表示しかできない点が惜しいところで、極小文字とかスクロールなどを利用して一覧表示できると使い勝手が向上すると思われます。

スケジュールに関してもPIシリーズの頃から特に不満の出る仕様ではありませんでしたが、唯一ユーザー泣かせなのが「日をまたぐスケジュール」の入力ができないという点は相変わらず改善されていません。

例えばば6月22日の午後11時から翌朝8時までなどという入力はできません。

これを回避する方法としては期間スケジュールとして登録すれば良いのですが、通常のスケジュールで入力できた方が便利に決まってます。

そもそも期間スケジュールというのは長期的なプロジェクトなどを登録するためのもので、通常スケジュール(開始−終了時間を指定する)とは意味合いが違ってきます。


・アクションリスト

アクションリストは「TODOリスト」とか「仕事」などの名前で同等機能を持つソフトがあります。

開始日と期限(終了予定)日を設定し、項目に優先度を設定することのできるチェックリストです。

この機能はスケジュールと連動しており、期限日が来たものをスケジュール上に表示されるので便利な機能ですが、「載せない」設定があっても良いのではと考えています。


■インターネット機能は使いやすいのか?

・インターネットへの接続

接続に関しては一般的なプロバイダが対応しているPAPとCHAP認証であればほとんど対応できます。

ユーザーが勘違いしやすいのがMSNとAOLで、これらはプロバイダとは違った接続方法を採るためパワザウを利用した接続はできません。

難点をあげるとすれば、スクリプトを必要とするプロバイダ(国内プロバイダがPAP認証でも海外ローミングの場合は結構必要となります)に対する接続手順の記述が難しいという点でしょうか。

この他にアカウントやサーバに関する用語がWindows と異なっており慣れていないとどこにどのような情報を入力すべきかに悩むこととなります。

一番悩むのがネームサーバ(DNS)に関する設定でいわゆるDYNAMIC(サーバから提供されるものを利用)する設定ができません。(この場合はプロバイダに問い合わせてDNSのIPアドレスを入力する必要があります、海外ローミングで結構悩む人が多いようです)


・Webブラウズ

カラーザウルスのころはHTML2.0準拠という発売当時(96/07下旬)に公開されていたWebコンテンツを見る環境としてはギリギリのスペックでした。

特に現在以上に多用されていたフレームが扱えなかったのは致命的な問題で、コンテンツの製作者が意図的に非フレーム用ページを用意してくれない限り何も見ることのできない状況となり実用度を大きく下げていました。

パワーザウルスになってからHTML3.2対応となり、フレームにも対応することができ、対象ページ上で特殊なプラグインやJavaスクリプトなどのスクリプトを使っていなければ表示可能となっています。

NIFTY INTERWAYで利用されているSSL(Secure Sockets Layer)<セキュリティー機能が付加されたHTTPプロトコル>にも対応できていないのはオンラインショッピングやE-MoneyといったPDA向きのサービスが利用できないので早急な対応が望まれます。(SSLはその後発売されたMI-310で実現しました)

また、Java(Script)とマクロメディアのフラッシュ程度には対応しないと見ることや検索できないページが増えることになるでしょう。

気になるのが画面の狭さで最近のWebは800x600ドットを基本画面に考えており、パワザウの320x240ドット(640x480ドットを1/2に縮小して表示することを前提としているらしい)では表示するために上下左右のスクロールを併用するため見にくくなります。

これに関してはWeb TVが行っているような変換処理で少なくとも横だけはスクロールさせないような工夫が必要になると考えます。

根本的な改善には横400〜480ドットへの拡張が必要かも知れません。

もう一点、ちぐはぐな対応なのがインターネット上のフォーム入力時の入力可能なテキスト文字数でカラザウ、初代パワザウ、ザウルスポケットが127文字までしか入力できませんが、パワザウ2はバージョン1Cへのバージョンアップ時に1200文字まで拡張されています。


・メール送受信

この部分に関してはカラザウ、初代パワザウと改善が進みパワザウ2ではあまり不満の無い仕様となっています。

メールに添付できるデータもMIME BASE64エンコードされパソコンのメールソフトで問題無く受信できます。(ただし、添付形式を「ザウルス形式」とすると特殊な形式となりパソコンで受信しても開けない場合があります)

ユーザーが最も望んでいる機能は複数メールアカウントのメール受信機能だと思うのですがこちらは対応がなかなかできないようです。

受信したメールの振り分けもできるようになったのですが、差し出し人、タイトル、本文中に含まれる文字列で振り分けするのに宛先で振り分けできないのが不満な点です。(プライベートと会社で分けたい場合など)

補足:パワザウ2のバージョンアップ(Ver 1C)時にこの点が改善され、TOとCCも分類条件に追加されました。

現在検証中のバグらしき問題として受信メールのヘッダデータを変換しそこねる場合があり、タイトルが文字化けすることがあります。(これを返信(リプライ)すると相手側にも化けたまま送られます)


■MOREソフトメニュー

カラザウ、初代パワザウ、ザウポケまでは登録されているMOREソフトをリスト形式で表示していましたが、パワザウ2から独立したメニューとしてアイコン表示可能なMOREソフトメニューが用意されました。

MOREソフトメニュー内では自由なアイコンの並べ替えができる他、オリジナルメニューへの登録も可能となっています。(オリジナルメニューのためのMOREメニューが用意されたとも言えます)

ただし、これによってMOREソフトにアイコンを定義していないということが目立つ結果となり、どのMOREソフトも標準のMOREソフトアイコンしか表示されず判別がしにくくなっています。(プログラム名も表示されますが、直感的に選択し難い物です)