■応用のきくターミナルモード

この技はPI5000に通信機能が搭載された頃から存在していました。

この技はNIFTY/パソコン通信機能が搭載されているMI-100〜610までで利用できる技で、アイゲッティ以降の機種では利用することができません。

また、インターネット接続でもこの技は利用できません。

■技の使い方

パソコンネットの接続先登録画面で左のように登録します。

電話番号は「*****」(全角アスタリスク5個です。

登録先を選択して「接続」にタッチします。

その際、使用モデムを内蔵、外部、カードなど使用する通信環境に合わせます。

ターミナル画面となりますのでATコマンドなどを入力して反応を見ます。

一通り試し終わったら「接続中止」にタッチしてこのモードを抜けて下さい。

NIFTY SERVEの接続先電話番号を「*****」とすると接続せずにメニューを表示することができます。

アイコンにタッチすると「実行中」と表示されたままの状態になりますので、「中断」キーにタッチしてこのモードを抜けて下さい。


■どのような技なのか?

モデムコマンドの調査や認識できるのに通信できないモデムカードを無理矢理使うなどの裏技として利用できます。


■モデムコマンド調査

特に調査したというわけではありませんが、AT&Vコマンドを使うと設定一覧が表示されるためここに記載されているコマンドは利用できるようです。

AT&V


ACTIVE PROFILE:
B0 E1 L2 M1 N1 T Q0 V1 W0 X4 Y0 &C1 &D2 &G0 &J0 &P0 &Q0 &S0 &U0 &Y0
%A013 %C1 %E1 %G1 \A3 \C0 \G0 \J0 \K5 \N3 \Q3 \T000 \X0 -C0 -J1 "H3 "O032
S00:000 S01:000 S02:043 S03:013 S04:010 S05:008 S06:004 S07:058 S08:002
S09:006 S10:014 S11:070 S12:050 S18:000 S25:005 S30:000 S33:000 S37:000

STORED PROFILE 0:
B0 E1 L2 M1 N1 T Q0 V1 W0 X4 Y0 &C1 &D2 &G0 &J0 &P0 &Q0 &S0 &U0
%A013 %C1 %E1 %G1 \A3 \C0 \G0 \J0 \K5 \N3 \Q3 \T000 \X0 -C0 -J1 "H3 "O032
S00:000 S02:043 S06:004 S07:058 S08:002 S09:006 S10:014
S11:070 S12:050 S18:000 S25:005 S30:000 S33:000 S37:000

TELEPHONE NUMBERS:
&Z0 =
&Z1 =
&Z2 =
&Z3 =

ACTIVE PROFILE というのは現在の設定、STORED PROFILE:0というのは予備の設定です。


■AT&Vから予測したコマンド一覧

上記のAT&Vで得られた設定一覧から読みとれるコマンドについて解析してみました。

モデムコマンドの意味に付いてはAIWA及びMegahertsのマニュアルを参考にしています。

パラメータの意味が若干違っているかもしれません。(?マークのところは分からなかったコマンドです)

コマンド パラメータ 機能 設定内容
B 0 ITU-T/Bell設定 CCITT 規格に設定
E 1 文字エコー コマンドエコーあり
L 2 スピーカーボリューム 音量2
M 1 スピーカー設定 モニタスピーカON(キャリア検出まで)
N 1 オートモード 設定通信速度を相手モデムにあわせる
T   ダイヤル種別 トーン
Q 0 リザルトコード 表示
V 1 リザルトコード種別 文字
W 0 コネクトメッセージ DTE側のみ表示
X 4 拡張リザルトコード ダイヤルトーン、ビジートーン検出
コネクトメッセージ表示
Y 0 ブレーク信号対応 ブレーク信号で回線を切断しない
&C 1 DCD信号 データ転送可能時にDCD信号ON
&D 2 DTR信号 回線を切断しコマンドモードに移行
&G 0 ガードトーン ガードトーンを送出しない
&J 0  
&P 0 ダイヤル時のパルス速度 10PPS
&Q 0 通信モード設定 ダイレクトモードでの通信
&S 0 DSR信号 常にON
&U 0  
&Y 0 プロファイル設定 プロファイル0の内容で初期化
%A 013  
%C 1 データ圧縮 MNPまたはV.42bis
%E 1 オートリトレイン 許可
%G 1  
\A 3 MNPブロックサイズ 256バイト
\C 0  
\G 0 モデム間フロー制御 行わない
\J 0 ターミナルスピード ターミナルスピード一定
\K 5 ブレーク信号受信時 バッファデータを送信後ブレーク送信
\N 3 エラー訂正 V.42bis/MNP5自動
\Q 3 フロー制御 CTS/RTS制御(ハードフロー)
\T 000 無通信切断タイマ タイマ設定無し
\X 0 透過タイプフロー制御 制御無し
-C 0  
-J 0  

パワザウのモデム障害事例の一つ、接続性の悪さに関しては送受信キャリアレベル設定をSレジスタの変更で対応するはずなのですがどれがレベルに対応するのかまだ解明できていません。

この他にも応答するモデムコマンドがあります。(AT&Tnでローカルループバックテストなど)

お手持ちのマニュアルを参考にコマンドを試してみて下さい。

ただし、コマンドを入力することでモデム設定が変わってしまったりファームウェアを破壊する可能性もありますので自己責任で行って下さい。


■パワザウのモデムチップ

パワザウのモデムは一般的なロックウェルのモデムチップやTI(テキサスインスツルメンツ)のDSP(デジタルシグナルプロセッサ)ではなく、シーラスロジック(日本ではグラフィックアクセラレータのチップメーカーとして有名)のチップを使っています。

モデムのファームウェアバージョン等を調べるATIコマンドを使うと興味深い応答を見ることができます。

ATI0 1.0 補足
ATI1 CD04.08 - MM04.31HP5 - SP 04 ファームウェアバージョン
ATI2 OK  
ATI3 CL-MD34xx モデムチップ型番
ATI4 OK  
ATI5 Host I/F:
P. Mem. : 016 Bit 003 W.S.
D. Mem : 008 Bit 001 W.S.
DSP code location = INT ROM
P.Mem=プログラムメモリ
D.Mem=データメモリ
ATI6 JP  
ATI7 CIRRUS LOGIC,INC. MODEM ENGINEERING
FIRMWARE DEPARTMENT
ファームウェアはシーラス
ロジック製?
ATI8 OK  
ATI9    

ハード面は解剖結果からシーラスロジックであることは解明済みなのですが、内部ファームまでシーラスロジック製ということと、DSPベースのモデムコントローラであれば比較的容易に56K対応も可能であるといえます。

欲を出せばDSPでISDNやデジタル携帯電話、PIAFS対応などを行い余分なアダプタを必要としない通信環境を実現してほしいものです。


■?謎のDOWNLOAD

モデムコマンドで遊んでいたら表示されました。

AT@ はMNP10のレベル設定コマンド AT@Mnを設定している時に気づきました。

AT@

DOWNLOAD BEGIN

DOWNLOAD BEGINという応答からもしかするとモデム用ファームウェアをオンラインでダウンロードできるのかも知れません。

代表的な33.6Kモデムはファームウェアの変更で簡単に56Kモデムにアップグレードできるためダウンロードが用意されているのか? モデムバグがあった場合に対応するための処理か謎です。

このコマンドを入力した場合は「中断」キーにタッチして通信解除するほかありません。

◆実際にあったモデムバグ

PI7000の時に発覚したバグで、文字列中に「~~~」(チルダ)が連続した場合にハングアップしてしまうというバグでした。(当時のNIFTY SERVE のFISDNのオープニングにこの連続チルダが現れるため発売後1週間ぐらいで発覚し一時発売停止となりました)


■御利益

モデムコマンドの解析以外にパワーザウルスで利用不可能とされるモデムカードを利用できる可能性があります。

パワーザウルスで利用できないモデムカードの場合2種類あって、ひとつは全く認識できないもの、もう一つは認識できるが接続できない物です。

認識できない物はどうしようもありませんが、認識できて通信できない物はターミナルモードを利用してNIFTY等のBBSに接続できる可能性は残っています。

これは、接続できないモデムの動作からリザルトコードがパワーザウルスの要求している物と異なるためだと推測しているのですが、ターミナルモードの場合パワザウ側ではリザルトコードに関してチェックしないため通信が可能になります。

ただし、インターネット接続に関してはターミナルモード的なことができないためBBS等で利用できたモデムに関しても利用できない場合があります。