■落ち着いてきたパワーザウルス2と思っていたら...

 カラーザウルスMI-10に始まり初代パワーザウルスMI-500系、ザウルスポケットのMI-100系と来て4代目となるMI-600系では基本機能部分のバグはほとんど無くなり(それでもおかしな仕様や動作はのこっているのですが)、過去の機種で特に問題アリとされたメール部分の改善がかなり進み完成の域に達しつつあると考えていました。

 ところが基本中の基本である手書き認識に重大なバグ(というより「欠陥」)が発生し、シャープの対応のまずさからユーザーは多大な迷惑を被ることになったのです。


■バグか? ハード不良か? 混乱するサポート状況

 当初、手書き認識問題は「ちょっと変だね」程度の認識で、書いたはずなのに線が抜ける文字が崩れるといったものがちらほらとNIFTY SERVEのFZAURUS,FPDAJ等で発言されたことから徐々に発展してきました。

 その当時としては手書きに慣れないユーザーがとまどっているのかな? ぐらいにしかおもっていなかったのですが、次第にベテランユーザーからも手書きしても線が出てこない、違うところに表示される、特定の入力升目が使えなくなるという声があがるようになりました。

 このバグは手書き認識を使い込むと顕在化するものだったのです。

 発売後1ヶ月も過ぎた頃からザウルスホットラインや販売店店頭でこの問題に対する問い合わせをするユーザーが増え始ました。

 その回答や対応はユーザーを非常に困惑させるもので、あるユーザーに対しては販売店での交換、あるユーザーにはタッチパネルの交換、別のユーザーに対してはザウルスホットラインの方で預かって対応とユーザーがNIFTY等で発言する度に違った状況が報告されるようになりました。

 前述の手書きバグの特性からバグの発生時期が同一ではなかったため、この問題は「個体差」説が有力となり「タッチパネルのハードウエアに何らかの問題を含んだものが流通しているのでは?」という世論に傾きつつありました。

 ところが、まるごと交換しても再発するという声もあがり、次第に同じ問題に気付くユーザーも増え、手書き問題は全ユーザー共通の問題であるという状況が明らかになりまいた。

 しかし、問題が顕在化してもしばらくの間シャープからは何のアナウンスもなくユーザーの不満が爆発し始めた頃、アップデートソフトが公開さました。

 このバージョンアップソフト公開のタイミングが絶妙で、翌日にビジネスショウTOKYO'98の開催を控えた1998年5月18日でした。(意図的ではないと考えたい気もするのですが、ビジネスショウで直接文句を言われるのを嫌ったという面もあったのでは?)

 さて、このアップデートを行うと見事に手書き認識が直りユーザーの不満も解消されました。(どうもこの手書き問題は初代パワザウ、ザウルスポケットにも共通のものだったようで、その後の1ヶ月間で両者ともアップデートが行われました)

 バグに対して場当たり的な対応でユーザーを混乱させるという初代パワザウのユーザ辞書問題と同じことがパワザウ2でも繰り返されたことになります。


■改善されたものの...

 この時のアップデート(Ver.1C)において、未公表の改善ポイントとして「ブラウザ上での文字入力が127文字しかできなかったものが1200文字程度まで入力できるようになった」というものがあります。

 127文字しか入力できないことによる最大の問題点はビジネスユーザーがWebベース上のアプリ(Lotus Dominoとの組み合わせが多い)で必要項目が入力できない場合があるというものです。

 穿った見方になりますが、ビジネスザウルスの存在がなければ127文字制限は直らなかったような気がします。

 現に初代パワザウ、ザウルスポケットはパワザウ2のアップデートソフト公開以降にアップデートされたにもかかわらず127文字は未だに改善されていません。(1988/07/16現在)

 127文字改善で余計に目立ったバグとして、文字入力時に携帯キーボードを使うとスクロールできないというものがあり、これは今後の改善が望まれる点でもあります。(手書き入力やインクワープロ参照で回避できるのでなんんとか回避できます)


98/09/24補足

 その後気が付いた未公表改善ポイントとして受信メール振り分けにおける"TO"と"CC"の追加という項目があります。

 複数アカウントを使い分けているユーザーにとって"TO"項目の追加は結構便利ですし、受信メールの部分削除という意味でも役立つ改善といえます。

 でも、こういうことはアナウンスして初めてユーザーのためになることなのですが...


■業務ユーザーと個人ユーザー

 ビジネス系ユーザーの場合は大量導入による発言力の強さや法人営業推進部という一般とは別ルートの販売経路があるため、店頭で購入する一般ユーザーとは違ったクレームのルートがあります。

 一般ユーザーと業務ユーザーの扱いに差別があるとは思いたくないのですが、対応状況を見る限り業務ユーザーのクレームへの対応は迅速なものがあるようです。

 パワザウ2はビジネスザウルスと共通なのでその恩恵をうけているに過ぎないようです。