■コミックビューアレビューについて

このページで行っているコミックビューアレビューは(株)ロイドより「コミックビューアを評価して欲しい」というメールを頂いたことから始まっています。

評価に際してはロイドさんからご提供のあった各種サンプルを元に行っています。

サンプル提供時にロイドご担当者とメール交換し、評価内容については「うまが流」のものでかまわないという了承を頂いておりますので、借り物だからといった手加減は加えてません(^^)/


■コミックビューア(ザウルス版Comic Timeビューア)とは

コミックビューアは1999年に実用化実験が行われた「デジタルキヨスク」プロジェクトに参加した株式会社ロイドのまんが作品を見るためのMOREソフトです。

コミックビューアメニュー

コミックビューアには2種類あり、一つがコミックビューア、もう一つがMarvieと名付けられた音声再生機能付きのビューアです。

コミックビューアは画像だけを表示、Marvieは画像と同時に音声を再生する機能があります。


各ソフトの詳細はそれぞれのページをご覧下さい。

コミックビューア

Marive


■デジタルキヨスクプロジェクト

・デジタルキヨスクプロジェクト: http://www.digitalkiosk.gr.jp/ 
・販売コンテンツ一覧: http://www.digitalkiosk.gr.jp/contents/index.html
・ザウルス文庫: http://www.digitalkiosk.gr.jp/contents/8-zaubunko.html
・まんがを含むその他ザウルス向け: http://www.digitalkiosk.gr.jp/contents/10-zau.html

デジタルキヨスクプロジェクトはJR西日本が中心となって展開された「コンテンツの自動販売機」プロジェクトで、実証試験として1999年9月1日(水)〜12月26日(日)までの期間中に大阪駅(11台)、三ノ宮駅(4台)、新大阪駅(6台)、神戸駅(2台)、京都駅(7台)が配置されました。

販売コンテンツは約550種類と記されています。

仕様を見るとデジタルキヨスク自動販売機には通信を使って常時最新のコンテンツが自動蓄積されるようです。

デジタルキヨスクのコンテンツはフラッシュメモリカードを使って販売されます。(種類はコンパクトフラッシュ、スマートメディア、PCMCIA TYPE2サイズのフラッシュメモリカード、TYPE2アダプタが利用できる各種フラッシュメモリカード)

ユーザーが持っているフラッシュメモリカードをデジタルキヨスク自動販売機に差し込み、購入したいコンテンツを選択することでそのカードに書き込まれます。(または、本当のキヨスク<有人販売>で販売されているCFカードを利用)

カード書き込みに要する時間は不明ですが(^^; パソコンでフラッシュメモリカードにデータを転送する程度の時間だと思われます。

コンテンツ内容を見るとフラッシュメモリカードが大容量であることを前提としたかなり大きな物が販売されていたようです。


■コミックビューア対応まんがコンテンツ

当時の資料を見るとコミックビューアに対応したまんがが11種類公開されていました。

作品名 サイズ
(KB)
価格 作者 概要
Comic Time ビューア・
ザウルス版
1976 100 (株)ロイド ザウルス用コミックビューアで、最初のみ購入する必要あり。サンプル付。
注:コミックビューア本体は120KB程度のMOREソフトです。
最近のわし 372 100 藤臣柊子 第2弾「最近のわし」 モノクロ漫画。
未来と私  1872 100 都岬 美矢 「夢の中の感覚!」カラー4コマ漫画。
バキューム・ボンバー 2157 100 三宅ひよこ 「ヴィジュアルCGの威力を発揮した」カラーストーリー漫画。
産みっぱなし+α 3015 100 三宅ひよこ 「痛快ファミリーギャグ満載!」カラー&モノクロ4コマ漫画。
はにわくん 373 100   心が暖ったかーくなるネーチャーカラー4コマビジネス漫画。
はにわくん2 363 100 赤羽のりこ 心が暖ったかーくなるネーチャーカラー4コマビジネス漫画。
ボラボルタ 7&8  863 100 メロン デジタルクリエーター集団「メロン」が世に問うニューカラー4コマビジネス漫画。
極悪人版古今東西昔話 990 100 稲葉麗子 稲葉麗子の4コマモノクロコミックです。
ケルトの翼3 625 100 仲村聖裕 仲村聖裕の「天使とおりなすギャグが楽しい」4コマ漫画。
あんDO夏 3618 100 成田のり子 「成功の秘密10ヶ条がここに明かに!」カラー4コマビジネス漫画。
五人組 5本セット 10305 100   創造社デザイン専門学校の新人作家によるコミック集です。

■サンプル

(株)ロイドさんからご提供頂いたまんがのサンプルです。

はにわくん はにわくん

作者:赤羽のりこさん

ファイルサイズ:373KB(39コマ)

今頃夏休み日記 今頃夏休み日記

作者:藤臣柊子さん

ファイルサイズ:400KB(27コマ)

バキュームボンバー ばきゅーむぼんばー

作者:三宅ひよこさん

ファイルサイズ:2157KB(39コマ)

あんDO夏 あんDO夏

作者:成田のり子

ファイルサイズ:3618KB

このコンテンツは音声データ付きです。

音声ファイル:2712KB(9ファイル)
画像:886KB(70コマ)


■コミックビューアに対する評価

この評価を書いた時と前後してシャープさんからスペースタウン上で「ザウルス電子まんが」というコンテンツを開始するという発表がありました。

当初はロイドさんのコミックビューアベースかと思ったのですが、どうも仕様が違うようです。

この要因についてはコミックビューアの弱点から来ているものと考えられます。


・コミックビューアのもったいない点

下の方でも書いていますが、これを「まんがビューア」としてだけ利用するのはもったい無いでしょう。

簡易プレゼンテーションツール、電子絵本、電子カタログとしての応用を考えればもっと用途が広がるのでは?

またMarvieについては語学学習に応用できそうです。


・コミックビューアの良い点

・画像の並びが指定しやすい

ザウルスのフォトメモリ上で画像を見る場合、意図した順番に並べるのには苦労させられますが、コミックビューアを使えばファイル名を基準とした順番で表示されます。

これはコミックビューア対応コンテンツだけではなくユーザーが作ったJPEG画像の場合でも同様です。

ロイドさんから正式に仕様が提示されるかどうか不明ですが、簡単なインデックスファイルを1個作ればコミックビューアの作品リストにも載り、表示ができます。

ただし、もう一歩進めて画像表示順をインデックスファイルに記述できればより使い易くなるでしょう。

・画像の前後送りが簡単

画面にタッチしながら画面を送れる/戻せる点は良いです。(ザウのフォトメモリは順送り/逆送りキー<+スクロールボタン>、スライドショウでは画面タッチの順送りだけ可能)

スライドショウ機能でプレゼンテーションされている人には代替機能として使えるかも。

・広告媒体としてのおもしろさ

コミックビューアの作品リスト画面には「広告」が出るのですが、これをすることでコミックビューアが無償配布できるなら良いし、作品を安価に提供できるとすれば良いアイディアなのでは?

ただし同業者のザウルスユーザーが広告を目にするのが嫌な場合に削除する方法が無いのが難点。


・コミックビューアの悪い点

・アイコンが無い

商用的MOREソフトの割にはアイコンがプレゼントボックス状態です(^^; 

このあたりは作品の顔なので付けるべきでしょう。(ただし、提供版が試作中のサンプルだったらゴメン)

・作品のトータルファイルサイズが大きい

一番の問題はコミックビューアで利用するまんがのファイルサイズが大きくなることでしょう。

今回のデジタルキヨスクはフラッシュメモリ経由でコンテンツを入手するためダウンロード時間は気になりませんが、それでもトータルのメモリ容量が気になるところです。

・画像の圧縮が高すぎる

また、ファイルサイズを少なくするためにJPEG圧縮の圧縮度を高めているため、画像にノイズが多くクオリティを下げています。

これが要因でコマに書き込まれた文字が読めない部分が生じています。

・作品提供者側のリスクが大きい

また、コンテンツ提供側からすると画像が生JPEGであるところに問題を感じるのでは?

今回はロイドさんが自らビューアとまんがコンテンツを提供しているためリスクを同時負担していますが、将来的なコンテンツ増を考えた場合の障害となりそうです。


この点でSSTが行う電子まんがは特殊な圧縮を使うようでコンテンツの二次利用に制限をかけることができます。


・コミックビューアに期待すること

・コンテンツ仕様をオープンに

コミックビューア用まんがデータに関する規格をオープンにすることです。

コミックビューア本体はなんとかユーザーに買ってもらうとして、それで利用するコンテンツはできるだけオープンにしておき作りたい人が作ってコンテンツ配布が自由にできるようなら

・ビューアを無料に

ビューアを無料にするポイントは「広告」にあるのでは?

広告掲載を希望する企業用にコミックビューアの広告画像を設定してビューアMOREは各企業のサイトで無料ダウンロード、ユーザーは使うたびに企業の広告を見るけどビューアの利用は無料というビジネスモデルです。

この考えを押し進めると無料コミックビューア+企業のPR用画像/カタログ画像をセットして、コミックビューア上でそれを見てもらうといったことができるでしょう。

そのかわりビューアは無料ね(^^)/


・フリーの作品を増やしてほしい

作品に関してはロイドさんのWebで集中リンクするとか、作品を提供する作者さんのWebにバナー広告的にリンクを用意して、そこからクリックしてロイドさんのWebに来た場合は何らかの還元を行うことなども考えられるのでは?

ロイドさんがコンテンツ販売を狙うなら、バナーで誘導されてきたユーザーに対しPRできるしWeb宣伝にも使えるでしょう。

プロじゃない作者も自分のコンテンツがどれくらい利用されるかが分かって多少なりともお小遣いがもらえるなら嬉しいでしょう(^^?


・Marvieはプレゼンテーション用途に使えるかも

MI-610以降のザウルスにはスライドショウ機能が搭載されています。(MI-506もMOREソフト対応)

この機能は便利なのですが、画像の並びをユーザーが意図した通りにするのは面倒です。(タイトル等で調整する必要がある)

また、スライドショウ機能では音声との連携はできませんが、Marvieを使えばそれが可能です。

これを利用すれば音声付きプレゼンテーションや音声付きフォトアルバムが実現しやすいかも?


ただし、現在のMarvie機能だけでは不十分で、ちょっと止める、一こま戻す、任意の部分から再生開始といった機能があれば実用的でしょう。

MI-C1ユーザーなら思わず欲しくなる機能かもしれません。

まがMarvie用の制御用データフォーマットは公開されていないので、こちらも規格をオープンにしてもらう必要があります。


・コミックビューア用コンテンツについて

こちらに関しては評価し難い面がありますが、サンプルで提供されたものを見る限り100円なら良いか(^^; といったところでしょうか。

でも「はにわくん」は、もし買ったら泣くぞ、きっと(^^;<まんがと考えずにお子さま向けの絵本と考えれば良いかな〜?)

でも、まんがはよほどインパクトが無いと何度も読み返すことが無いから100円分の満足度は得られないかもしれません。

200〜300円出せば色々なジャンルのまんがが出ている雑誌が買えるので、全作未発表書き下ろしのような作品か、著名作者の作品でないとなかなか買えないのでは?


またコンテンツサイズを見る限りネットワーク経由では購入しやすいとは言えません。

デジタルキヨスクが全国展開した時にはちょっと買ってみようという気になる程度かな?

今回は見ていないけれど「五人組 5本セット」のように同人誌的な作品が増えるなら作者の青田買いというか、商業誌デビュー前の作品などが楽しめるような気がします。


・電子まんがと比べてどうか?

これは2000/02/10に電子まんがが始まってから書きます。