ザウルスカラーポケットが発売されました。

 ニュースリリースを見るとカラーポケットは「目的別ザウルス」の第一弾ということで、これまでのMI系ザウルスとは大きく異なったユーザーインタフェースを持ち、操作体系も変わりました。

 果たして「新しいザウルス」としてカラーポケットは市場に認知され普及するのか?

 電子手帳PA7000に始まりPI3000の頃からザウルスを使っているユーザーから見た新しいザウルスについて感じたあれこれを書いてみます。


■カラーポケットを受け入れられないのは『おじさん』の証拠なのか(^^?

 1998/10/06補足

 私(まると)がなぜカラーポケットを受け入れられないかをあれこれ考えていたのですが、先頃行った「リアル言いたい放題」でシャープ(株)の皆さんとあれこれ話をした結果、カラーポケットはこれまでのザウルス利用者向けではなく全く新しいユーザーを開拓するために開発されたことを聞くに及び納得できる理由にたどり着きました。

 元祖ザウルスであるPI3000の登場は1993年、それ以前にもPAシリーズ、DBシリーズなどの歴史があるわけで、PAの頃から電子手帳を使い始めたユーザーは使い始めの頃から10歳は歳をとっているわけです。

 私の場合も20代半ばから電子手帳化を始めて以来、PI3000〜8000、MIシリーズと歳を重ねており『電子手帳おじさん』世代に入ってしまったことになります。

 確かに周りを見てもザウルスユーザーは『電子手帳おじさん』ばかりで、若者ユーザーはノートPCやWindows CEなどのパソコンを利用しています。(ザウルス若衆もいますが(^^;)

 「新しいザウルスは旧ザウルスユーザーには受け入れられるが、それ以外の層には受け入れられなくなっているのでは?」

 そのような思いから企画されたのが「ザウルスカラーポケット」であり、基本インデックスやダイレクトキーの省略に結実した「分かり易い、使い易い」ザウルスなのでしょう。

 旧ザウルスユーザーの『電子手帳おじさん』にとってはカラーポケットは「こんなものザウルスじゃない」と反発するのですが、ザウルスを知らないユーザー層にとっては新しいPDAとして新鮮に見えるのかも知れません。

 実際に東京のシャープ(株)市ヶ谷ショールームで開催された「女性のためのモバイルセミナー」や「カラーポケット体験」などでは従来のザウルスユーザーとは違った層の方が多かったとも聞いており、新世代のユーザーへのアピール度は高いようです。

 ザウルスユーザーも歳をとったのだね〜と、妙に納得できるようになった今日この頃だったりします(^^;

  でも、『ザウルスおじさん』が安心して購入できるようなカラーポケットも必要なんですよね。


以下はカラポケ発売前後に書いたものです

■ザウルス・バージンは購入するのか?

 今回のカラーポケットはこれまでザウルスを使ったことの無いユーザー層が利用しやすいようにメニュー構成や操作面を大幅に変更しています。

 特に女性ユーザーをターゲットにしているようです。(その割には筐体のデザインセンスが悪い)

 MIシリーズになってから操作面は「ザウルス」を知っていれば簡単、知らないとマニュアルと首っ引きで初めて使えるという状況です。(こちらに関してはカラーポケットの概要を見て改めてそのように思いました)

 PIM部分というのはそれほど面倒な操作がないため誰でもすぐに使えるようになりますが、インターネット接続設定やメール送受信操作などは設定項目も多く初心者にとっては敷居の高いものです。

 インターネット接続設定はMOREソフトによる「接続設定」を利用すれば代表的なプロバイダに関しては対話型で設定することができます。

 その他の機能に関してもカラーポケットは各機能にウイザード的な機能が付加され「目的」を選択すればその過程をザウルスが指示してくれるようです。

 シャープ(株)上のWebでのインタラクティブデモを見ると「メールを作る」という流れが順番に実行できるようなメニュー構成となっており初心者でも使い易い操作性が実現できているようです。

 また、用語等に関してはオンラインヘルプ的な物が用意されており、初心者が悩まないような配慮がなされています。

 これらの機能により「初めて」ザウルスに触るユーザーでもあまり迷わずに利用ができるようになると考えます。

 初めてだから故、これまでのザウルス的ダイレクトキーやメニュー構成に捕らわれることなく利用できるのかもしれません。


◆ターゲットユーザーが絞り込めていない?

 しかし、こういう機能が果たして初心者の「買い条件」となるのか? 非常に疑問です。

 カラーポケットは「目的別ザウルス」の第一弾とされていますが、その割にはこれまでのザウルス機能を省略することなく全て搭載し、結果的に高めの価格が設定されています。

 MI系の売りはインターネットアクセスですが、「メール」と「Webブラウズ」に分けて考えた場合、ユーザーが必要とする割合の高いのはメール機能です。

 メール機能に関してザウルスの場合は「読む」ことに関しては問題無いと考えますが、「書く」ことを考えると短いメールならともかく、長文となった場合手書きでは苦しく、キーボード入力の場合は別体のキーボードとザウルス側の機能が初めからキーボード入力を考慮していないためか、タッチと併用する必要があるなど、私のように慣れているユーザーでも敬遠したくなる部分があります。

 こと「メール」に重きを置く場合、選択肢は幾らでもあり、ザウルスがベストではないでしょう。

 これまでデジタル携帯電話専用だったポケットボードもPHSに対応し、なおかつパルディオE-MAILが利用できるようになりメール専用機としての機能が充実しました。(市販価格で約15,000円)

 メールに特化するならこれで十分でしょう。

 Webアクセスに関しても320x240トドット(縮小表示で640x480ドット分を表示可能)の画面で見ることのできる情報量は現在のWeb状況から見てさほど快適なものではありません。

 それでも見ることができる、モノクロ表示よりマシということになるのですが、情報量の多さという点を考えるとWindows CEのカラー版の方が上回るし、実用度は上とみています。

 ザウルスの特色、オートサーフィンとライブラリ機能はニュースWebサイトの定期巡回などに使える機能なのでこれを特色とできるのかもしれないのですが、他のPDAでもできるようになっており差別化の対象にはできないでしょう。


◆「ザウルス」と名が付くから売れる部分もある

 もし、カラーポケットと同様のスペックを持つPDAが他社から出たとしても、その機能と価格を対比させられたら「高い」「Windows CEの方がマシ」「ソフト開発環境が高い」「画面が見にくい」と厳しい評価になるでしょう。(発売するメーカーにもよるが)

 カラーポケットは「ザウルス」という名が冠されているからこそユーザーに認知され、ニュースとして好意的に取り上げられている部分があります。

 販売店店頭でも、あれこれ説明することなく「100万台以上も売れているザウルスのカラー版ですよ」と言える強みがあります。

 この意味では何かPDAを買おうと考えた人が販売店で相談すると「"ザウルス"カラーポケットなら」という事になり売れるような気もします。


 一方、スケジュールやアドレスといったPIMをメインに考えるならカラーポケット程の機能は必要としません。

 WizやPIシリーズの機能を若干改良したもので十分なのでは?


■ザウルスユーザーは購入するのか?

◆PIシリーズユーザー

 ザウルスポケット(MI-100シリーズ)の発売時にPIシリーズからの乗り換えが進んでいますが、PIシリーズを愛用しているユーザーも結構います。

 PIMとして考えた場合、特にPIシリーズで困ることがないと言うのが主な理由でしょう。

 しかし、PIシリーズから乗り換えを考えた時、カラーポケットは魅力的な選択肢となりそうです。

 パワーザウルスを敬遠する理由に常時携帯するPDAとしては大きいというものがあり、その点ではザウルスポケットが好まれていますが、ザウポケはモノクロです。

 カラーのザウルスがあるとモノクロは今ひとつかな?という心理が働きもう少し待ってみようと考えていた所にカラーポケットなので興味津々といったところでしょう。

 こういった点で「ザウルス」という名前が付く安心感は大きなものがあり、アドレス帳他のデータ移行に関しても問題が少ないため他のPDAに比べてアドバンテージがあります。

 買い換えを考えているPIシリーズユーザーにとっては購入に値するように思えます。

 ただし、PIシリーズのPIM機能で満足なユーザーが、通信機能などの不要な部分を含んで割高感を感じるカラーポケットに躊躇するという状況も感じられます。


◆MI-610ユーザー

 MI-610ユーザーの場合、サイズが大きい/電池が使えないと考えているユーザー以外はカラーポケットを購入すべき動機付けがないと思います。

 機能的にはほぼ一緒でブラウザのSSLやクッキー対応は魅力的ですが、乗り換え動機としては弱いものがあります。

 パワーザウルスユーザーは頂点指向があるので次のパワーザウルスを待つということになりそうです。


◆MI-500シリーズユーザー

 MI-500シリーズユーザーはカラーポケットに関して非常に微妙な立場となります。

 カラーポケットの処理速度はMI-500の倍以上の体感速度を感じる部分があるため、店頭で触ってみると「速い」と感激するようです。

 MI-500も発売以来1年を経過してそろそろ買い換えたいな〜と思っているユーザーも多くパワザウ2、カラポケどちらにしようかと悩むことでしょう。

 ただし、カラーポケットのメニュー周りと操作性はMI-500シリーズとは大きく異なります。
 
 もし、MI-610と同じようなタッチキーとメニュー構成を持つカラーポケットがあれば迷うことなく購入できるのではないでしょうか?

 デジカメ愛用ユーザーは今なら間違いなくMI-610でしょう(^^;

 現在の実売価格を見るとデジカメ付きのMI-610DCとMI-310はほぼ並ぶ価格が点けられており、店頭で両者を見た時に決定的に画質に差があるため、MI-500シリーズのサイズに問題を感じていないユーザーはカラポケを購入する必要性を感じないと思います。

 しかし、MI-610の次のパワザウも噂される段階なので、買い換えるべきか?もう少し待つべきか? しばらく悩む事になりそうです。


◆MI-100シリーズユーザー

 MI-100が発売されてからまだ一年も経っておらず、購入間もないユーザーも多数います。

 カラーのザウルスポケットは欲しいが「買ったばかりだから」ということで基本的には待ちということになりそうです。

 ただ、ザウポケユーザーがカラポケに触るとその速さには感動するはずで、衝動買いするユーザーもいるかもしれません。


◆伏兵:サブノートPCユーザー

 これはPIシリーズの頃からの傾向ですが、サブノートやスモールPCと呼ばれるノートPC利用ユーザーもザウルスを好む傾向があります。

 ZauBASEユーザーにも結構リブレットユーザーがいて(リブの一部はASK光通信が可能だった)PIM的なことをザウルスでしていました。

 考えてみるとWindows CEではない通常のノートPCはサスペンドやレジュームを使っても起動までは数秒から数十秒を必要としてPIM的な用途には向きません。

 また、メール送受信にしてもザウルスのような快適さはありません。

 鞄の中にノートPCはあってもポケットにはザウルスが入っているという状況は考えられる事です。

 モバイルの特性を理解しているサブノートPCユーザーならではの選択だと考えます。

 必要なデータをザウルスに転送しておいてザウルスで見る、ザウルスで受信したメールはノートPCに戻すというような運用方法をとることでモバイル度が向上するので悪い選択ではないようです。


■価格は妥当なのか?

 定価で11万円、実売で8〜9万円という価格は「高い」と言わざるを得ません。

 確かに他のPDAと比較してカラー液晶の搭載、高度なWebブラウザ、メール機能などコストパフォーマンスは高いのですが、初めてのユーザーでも購入しやすい価格となると実売で6〜7万円程度でしょう。

 パソコンが10万円で買える時代にあって、それと同等価格レベルのPDAというのは割高感を感じさせます。

 PIシリーズの初代機であるPI3000がヒットした要因は大胆な価格設定にあったとも考えられ、逆にカラーザウルスが大失敗した原因は機能に比べた価格の高さにあったとも言えます。

 パワザウの場合はザウルスの最高峰としての価格設定であり、購入するユーザーも納得している部分があります。

 また、ザウポケの場合はMI-106〜MI-110Mまでユーザーニーズに合わせた設定となっており、エントリレベルからパワーユーザーレベルまでが満足できる機能に見合った価格設定だったと考えます。

 このような視点で見ると、カラーポケットの場合はエントリーユーザーを想定している割にはどうしても「高い」と言わざるを得ません。

 MI-106M並の価格設定が一つの目安だと考えます。

 カラーポケットは目的別ザウルスの第一弾と言いながら実際にはこれまでのザウルスを引きずった物となり、結局必要の無い機能まで搭載することとなり価格面ではあまり下げることはできなかったようです。


 機能的には意欲的であるが、価格的には疑問が残ります。


■女性に受け入れられるのか?

 プレスリリースやシャープWebの告知などで見ると女性をターゲットにしているようですが、男性以上にシビアな価値観を持つ女性が果たしてカラーポケットを欲しがるのか? 今後のザウルスシリーズの方向性に大きな影響を与えそうなポイントです。

 従来通り男性の視点でデザインされたカラーポケットに関しては男性ユーザーからも「嫌い」という声が出ており、使っている「おしゃれ感覚」を意識していないデザインだと思います。

 PDAだって一つのアクセサリだという視点でデザインできないものなのでしょうか?

 このデザイン問題に関してはNTTドコモが発売している10円メール専用端末「ポケットボード」が女性に人気があるという例が身近にあります。(ポケットボードはメール機能という面ではザウルスポケットの最大のライバルとも言え、累計出荷台数が10万台を超えています)


 周りの女性からザウルスユーザーであるあなたと、Windows CEユーザーに「カラーポケットとWindows CEはどちらが良いの?」と聞かれたときカラーポケットのメリットとWindows CEに対するアドバンテージを的確に説明して彼女をザウルス教に洗脳できるでしょうか(^^?


■キラーアプリが無いのが致命的でしょう

 「どうしてもザウルスでなければ」という意識付けができない限りユーザーはWindows CEやPalm3、HP200LX、携帯電話一体型PDAなどを比較の対象とするでしょう。

 一昔前は他を圧倒していたスケジュールやアドレス帳などのPIM部分に関しても各社の研究が進みザウルス並の機能が搭載されています。(または、不足している機能をユーザーが作るとか(^^;)

 PIMとして考えるならWizやPIシリーズでも不満は無いのでは?

 また、メールに関してもテキスト部分に関してはどのPDAを使っても最低限のことはできます。

 Webブラウジングに関してはユーザーニーズとの兼ね合いもありますが、こちらを重視するならWindows CEやスモールPCの方が快適でしょう。

 様々な機能を貪欲に搭載した結果、八方美人的なザウルスに仕上がったけれど個性の無い機器になってしまったのが最近のザウルスなのでは?

 パワザウの場合は「腐ってもデジカメ(^^;」が標準サポートされ、デジカメと連動した処理ができるという点で「買い」の要素はありますが、カラーポケットはカラーでありながらカラーの入出力を行う場合にはパソコンを経由する必要があるという自己完結のできないマシンとなっています。(Webからダウンロードとかメール添付もあるけど)

 こうやって考えるとザウルスには「どうしてもザウルスでなければ」という物がないのです。


 これはパワーザウルス2(MI-610)登場の時にも書いたのですが、ある機器が爆発的にシェアを伸ばす為には「キラーアプリ」が必要となります。

 PC9801の頃における一太郎、ファミコンにおけるマリオブラザーズとドラクエ、プレイステーションのファイナルファンタジー、ゲームボーイのポケモン、ビデオデッキにおけるポルノビデオ、インターネットにおける海外系Hサイト(^^;;;などがその機器の普及に貢献したキラーアプリでしょう。

 PIシリーズの頃は目的の機能を呼び出すまでに非常に時間のかかるPCに対してワンタッチで表示できるザウルス、簡単操作のザウルスというキラー度があったのですが、その後のPDAやスモールノートPCの普及でキラー度に関するアドバンテージが無くなったと考えています。


◆カラーポケットのキラーアプリはこれか?

1.デジカメ

 カラポケサイズに合わせた小型デジカメが付くのであれば女性の持つデジカメシステムとして受け入れられる要素を感じます。

 CE-AG03の半分程度のサイズ、固定焦点、接写機能あり程度でカラーザウルス用のCE-AG02的な割り切りをしたデジカメで十分かもしれません。

 付加機能や画質などを考えるならパワザウと共通で利用する事を考えたCE-AG03並のデジカメを別系列として用意すれば良いことになります。

 または、ザウルスユーザーが熱望している他のデジカメ画像を取り込む機能が搭載されればメール機能と組み合わせて活用範囲が広がるはずです。


 補足:実機を見て感じたのですが、デジカメ付けても液晶が黄色っぽい発色となるため、撮影した画像を「見る」という面ではあまり良い状況ではありません。

 もしデジカメが付いたとして撮影した画像自体の色調に問題ないはずですが、見栄えが悪いと感じました。

 よって、デジカメを付けると色が悪いと言われ逆効果かもしれません(^^;


2.ポストペット(^^;

 私が以前から提唱している「ポストペット for ザウルス」というのも売れる可能性はあるのですが(^^; ポスペVer 2.0も登場間近なので誰か作らないかな〜?

 私の周りのPCに興味が無い人もポスペには興味があるようで「ザウルスで使えるようにならないか?」と結構言われます。

 「おでかけ用ポスペマシン」は一つのキラーアプリでしょう。


3.ザウルスで楽しめる情報サービス

 キラー的要素を持ちながら失敗した試み(だと思う)のがザウルスプラザとWildBirdでしょう。

 カラーザウルス発売当初、WildBirdの中にメールに添付した画像が投稿できる掲示板があり、新しい試みとして期待していたのですが、アクセスが少なくいつの間にか無くなってしまいました。

 また、ザウルスプラザも初期段階ではWeb上の情報をジャンル別にまとめ週間(月間だったかな?)で更新するという、今からは考えられない程頻繁なメンテナンスが行われていました。

 こちらに関しては「そこそこ使える」情報であったと思っているのですが、対象とするターゲットを絞り込めず結果として尻すぼみになったようです。

 これらの失敗はザウルスの可能性を追求しながら、Webを運用する側の「ザウルスに対するこだわりの無さ」とユーザーの参加を最終的に拒んだことに原因があると思うのですが...


 手前味噌だけど、まるとWebの各会議室は結構書き込みがあり、アクティブなユーザーが集っています。

 Q&Aや使いこなし会議室の中でザウルスユーザーのノウハウを公開しあったり、こんな機能が欲しいというリクエストが上がったりします。

 こういった事をザウルスプラザで行えば、もう少し活気のあるWebとして存在できるでしょうし、そこからヒントを得て新しいコンテンツの作成などもできるのではないかと考えています。


 この対極にあるのが東芝がリブレットやGENIO用に立ち上げた「駅前探検倶楽部」でしょう。

 駅前にこだわったWeb作りはザウルスユーザーを初めとしたPDAユーザーやパソコンユーザーにとっても利用価値があり、また、ユーザー参加型とすることで勝手に情報が集まって活気のあるWebとして自己増殖し、ある種のポータルサイトとして役立っています。


 カラーザウルスのころはユーザーもインターネットが初めてという状況でもあり、Web上の掲示板の利用などは未知数の部分があり、その意味ではWildBirdの掲示板もザウルスプラザのフォト倶楽部も「早すぎたが故の失敗」という面があると思います。

 しかし、現在は私が運営している掲示板や会議室でもザウルスユーザーがザウルスを使って書き込みをされており、ユーザー側の準備はできていると考えています。

 今ならWildBirdの掲示板やザウルスフォト倶楽部も活かせる状況だと思うのですが(^^?

 ザウルスで投稿できる画像付き掲示板で「親バカ登場(子供自慢)」「うちのペット」「今日の一枚」「ザウルスで速報!」とかは私が運営してみたいテーマだったりします。


 少し脱線しますが、ザウルスと同じように解像度に制限のあるテレビ画面上で見やすいWeb画面を表示させるサービスとして"Web TV"があります。

 仕組みとしてはWeb上のデータを一旦"Web TV"のサービスサーバで処理して画面レイアウトをできるだけ崩さずにテレビ画面の解像度に変換しているようです。

 ザウルスでwebアクセスした方はわかると思うのですが、小さい画面で横スクロールを行う場合の見にくさは見るのを断念したくなるほどです。

 この点が「ザウルスのブラウザでは見にくい」という印象を与えているような気がします。

 WebTVの場合はレイアウト変換時に横スクロールの必要が無いように処理しているとのことで、こういった情報サービス(機器)の提供者の配慮一つで使い勝手の善し悪しが決まるわけです。

 ザウルスの場合も本気にWebアクセス機能を「売り」機能とするならWebTVのような工夫や、ザウルスでアクセスして検索できないような時刻表のページ提供者に対して改善を要望するなどの地道な努力が必要だと思うのですが...(こういったことを実際にしているのはユーザーの方であるということが問題だと思います)


4.テキストリーダー

 ザウルスQ&AやMOREソフトリクエストでユーザーが希望しているのが、ザウルス上で大容量のテキストデータを読むというものです。

 ネット上で公開されているオンライン小説をザウルスに取り込む場合、レポート、インクワープロ、ワープロでは文字数上限があり、ユーザー側で適宜分割してから転送する必要があり煩わしいものです。

 また、「本」として読む場合のしおりやダイレクトページジャンプのような機能がありません。

 MOREソフトでも供給可能だと思うのですが、使い易いテキストリーダーなどが欲しいところです。(テキストエディタでも良いのですが)


5.初めの一歩が踏み出しやすくなるPCソフトの添付


 これは私が展開しているリンクプログラムのZauBASE開発のテーマでもあるのですが、今のザウルスシリーズには各種のアドレス帳からデータを読み込むためのツールが不足しています。

 カラポケにもザウルスリンク for Outlookが付いており、これを経由すれば読み込めないことも無いのですが、年賀状の宛名書きソフトやLotusのオーガナイザー、Excelで作成した住所録などユーザーが作った住所データの種類は多岐に渡ります。

 各アプリケーションのネイティブなデータを扱えるようにして欲しいとは言いませんが、最低限CSV形式のデータをザウルスで利用できるように変換してザウルスに転送するソフトを標準添付してもらいたいものです。

 このようなソフトがあれば「買ってすぐに使えるようになる」というPIM/PDAの目的にかなうと考えています。

 カラーポケットで言えば、ザウルスプラザで使い回したネタである路線図とか便利なリンク集の前にユーザーが使い始めやすいツール類を提供する方が先のような気がします。


6.使わなくてもBASIC

 ザウルスをちょっと使い込むと「こういったことができたら」という点が出てきます。

 ザウルス買う?買わない?掲示板でもBASICがあれば買っても良いかなという発言も結構あるのでMOREソフトほど大がかりで面倒な開発環境でなくBASICレベルの環境があればPalm3などに流れているユーザーを引き戻すことができるのでは?

 アドインのように内部ファイルを操作できないとかの制限を緩くして「読むのは可」とすれば自分好みのスケジュール表示やアドレス帳の分類などを自作できるし、テキストリーダなどが簡単に作れるでしょう。

 そういったものをフリー、シェアウエアで配付できればユーザー層に広がりができるはずです。


7.占い

 スケジュール機能の画面に「今日の占い」があると女性受けしそうです。
 MOREソフトにはクロストークのホロスコープがあり、占ってあげると喜ばれるそうです。
 簡単なもので良いので星座占いのようなものが欲しいところです。


■今時メタリックカラーでよいのか?

 インプレスのPC-WATCHの情報によるとカラーポケットの発表会では標準カラーの他に参考展示として迷彩色やピンク、マーブルカラーなどに塗られた物が展示されていたようですが、時代はスケルトンなのです(^^;

VCCI(対外ノイズ規格)をクリアするにはスケルトンボディーでは問題があるのかもしれませんが、今買いたい気にさせるならこのようなザウルスなのでは?


■迷走するザウルス

  カラーポケットに関するWebを作りながら各種の情報を見渡すと、製作者(メーカー)の「迷い」を感じます。(この部分の感覚は私がザウルスユーザーだからかもしれません、ザウルスを使ったことが無い人にとっては違った印象を受けるのかな?)

 PI3000が登場した頃は「様々な機能は実行できるが操作が難しいパソコン」に対して「機能を絞り込み簡単操作のザウルス」という状況があり、それをアイデンティティー(錦の御旗か?)として機能を充実させていけば良かったのですが、ネットワークの時代を迎えNIFTY SERVEのアクセス機能を搭載したりインターネットに接続できる機能を搭載したり、パソコンとのデータ互換をとるために表計算やワープロを搭載したりと、パソコンと同じ土俵に上がって勝負を始めた頃から機能が肥大化を続けてきました。

 その戦略を見直したのが「目的別ザウルス」であり、その初代となるのがカラーポケットのはずです。

 方向性としては間違っていないと思うのですが、機能に対する割り切り方に歯切れの悪さを感じます。


 「基本のザウルス」として位置づけるなら表計算、ワープロ、データベース、地図ビューアはMOREソフトによる機能追加で十分なのではないか?そのためにはメモリを14MB程度積む必要があり、コストアップになるのかも知れませんが、ユーザーが自由に利用できるメモリエリアの増大という意味は大きいと思います。

 また、表計算やワープロ、データベースに関してはパワーザウルスなどと同じメニュー構成のままでスケジュールやアドレス帳とは大きく異なった操作体系となります。

 こういった違いは特に初心者にとっては悩み大きものとなり、結果的に「難しいザウルス」という評価になると考えています。

 多分これらの機能はカラーポケットに搭載する必要度が低く、その気になれば除外できたものだと思うのですが、機能ダウンを許さない(製作者、ユーザー双方にある)過去のしがらみを振り払うことができず、中途半端な状態で残してしまったと見ています。


 カラーポケット発表と同時にコンパクトROMによるソフト提供がアナウンスされました。

 もし、コンパクトROMで表計算等のソフトが供給できるのであれば、それらを必要とするユーザーに対しては別売で提供するという方法もあったと考えます。

 その結果としてフルスペックのカラーポケットが11万円、機能を絞り込んだカラーポケットが8万円程度の価格設定にできれば狙い通りの「新規ザウルスユーザーの獲得」ができると思うのですが...

 もう一つの考え方としてはMI-610の機能をそのままカラーポケット化するという方法でしょう。

 既存ユーザーにとってはこの方がすっきりします。(でも、実際に登場するとMI-610を小さくしただけと指摘するかな、やっぱり(^^?)


 多分、製作者側の迷いが微妙に伝わるのか、カラーポケットを購入しようという既存のザウルスユーザーは少ないようです。

 私自身、カラーポケットに関してはこのWebを運営していなければ「購入しない」という即断をしたと思います。(現在でも購入すべきかどうか迷ってます)


 「ザウルスベーシック」的なPIMと電子メールなどの基本機能を搭載した物があり、追加機能はコンパクトROM等で追加していくという「クリーンPC」的なザウルスが求められているような気がしてなりません。(クリーンPCはシャープが販売していた黎明期のパソコンMZシリーズの基本思想で、最低限のROMしか持たないRAMベースPCとしておき、必要なソフトを組み込むことでユーザーの好みに合わせた環境を作れるというものでした。 また、可能な限りのハードウェア情報やBIOS情報などを公開しており、自由なユーザープログラミングの手助けをしていました)

 この思想を実現しているのがPalm Pilot(Palm 3)だったりするのですが(^^;

1998/12/01補足

 ザウルスをベースとしたメール端末「コミュニケーションパル(MT-200)」が発売されましたが、ザウルスベーシック的なメール+PIMという構成で、大胆な価格設定(店頭価格で3万円程度)をしています。

 クリーンPC的な意味ではユーザーメモリが1.45MBだから不足ですが、最初のザウルス的マシンとしてはお手頃でしょう。(あくまでもコミパルでザウじゃありませんが(^^; )


■カラーポケットは「初代機」です

 こちらは杞憂に終わってほしいのですが、シャープのPDA関連のジンクスとして「初代機はコケる」というものがあります。

 単なる電子手帳からPDAに進化を遂げようとしたPV-F1はザウルスのプロトタイプとなった「初代機」ですが、野心的な機能を生かし切れずシェアを伸ばし切れませんでした。

 その反省に基づいて作られたPIシリーズは爆発的ヒットとなりました。

 PIシリーズで調子づいてカラー化に挑戦したのは悪名高きカラーザウルスですが、こちらも「カラー初代機」です。

 結果は今も店頭に並ぶ新品のカラーザウルスが物語るのですが、大失敗でしょう(^^;

 ザウルスを作った人々がザウルスのなんたるかを忘れてPIM部分の快適性をおろそかにしたのが失敗の原因だと考えます。(使っていてイライラするザウルスと言うのもカラザウ以外に無いのでは?)

 その反省の結果はパワーザウルスに繋がっています。(こちらも大成功とは言えないような気がしますが)

 初代ザウルスポケットはパワーザウルス(MI-506)をそのままモノクロ化したものなので大きな問題は生じず、PIシリーズからの乗り換え需要に応えたと思います。

 その後に発売されたパワザウ2(MI-610)はある程度完成されたMIシリーズだと考えています。

 初期に大タコなバグはありましたが、機能面を見ると高速なCPUパワーに裏付けられた快適な処理速度でPIMとしての使いやすさを含めた完成度は高いものがあります。

 残ったのがメールに関するもう一段の機能改善とブラウザの改良というところでしょうか。


 そして、ザウルスカラーポケット。


 本来ならカラーザウルスポケットポケットカラーザウルスというネーミングの方が言葉のつながりがスムーズなのですが、敢えてザウルスカラーポケットとした所にカラーザウルスの怨念を感じずにはいられません。

 カラーポケットに関してはそれ以前の「初代機」に比べて劇的な変化度は少ないと見ていますが、前述のような「迷い」を感じる機種でもあり、その行く末を心配しています。


 また、過去に「まるとWeb掲示板」にたれ込みがあったように、本来6月頃に発売予定だった機種がカラーポケットとすれば新機能に関するバグ取りは十分にできているとは思うのですが、「初代機」に付きものの大バグが怖かったりして(:P

98/12/01補足

 大タコなバグではありませんが、デジタル携帯電話インタフェースにv42.bis機能を載せなかったため10円メールやNTTドコモなどが提供しているインターネット接続サービスが利用できないことが問題となりました。

 現在はv42.bisドライバが公開されて使えるようになっていますが(^^; それまでの間ユーザーは「使えない」と泣いていたな〜。


■実際に触ってみて(98/09/08)

 私がカラーポケットの実機に初めて触ったのは9月8日の名古屋ショールームの展示機でした。(その後大須電気街でも数店でさわることができました)

 展示機の設置環境はオフィスや一般家庭の室内より明るい設定だったため、液晶の見え具合に関して問題は無いと感じましたが、パワザウと並べてみると暗いことはさておき、色再現性が悪いのです。

 どうしても黄色っぽくなるのはスーパーモバイル液晶の特性だと思うのですが、当初「デジカメが付けば買い」と考えていたことが否定されたような気がします。

 この画面状態では仮にデジカメが付いたとしても撮影時の画像確認に困る画質だと考えます。

pz-cz-2.jpg (20158 バイト) パワーザウルスとの比較

 これがバックライトTFT液晶と反射型液晶の差です。

cpocket-image.jpg (13761 バイト) カラーポケット上での表示イメージ

 オリジナルの画像のカラーバランスを変更して黄色っぽさを出し、若干暗くしました。

 注:その後様々な場所で表示を確認しましたが、反射する光の色(照明の色)の影響を受けます。

 この画像は白熱電灯を照明として見た場合のイメージとなります。

 蛍光灯下で見るともう少し青みがかったちょっと暗めの画像となります。

pz-image.jpg (14671 バイト) オリジナルイメージ

 デジカメで撮影した状態そのままです。
 パワーザウルスで見た場合概ねこのように見えます。


 また、カラーポケット上で画像を見ると発色の悪い画像と感じるはずです。

 ただし、実際に撮影した画像は多分カラーバランスに問題は無いと考えています。

 パソコンに転送すれば満足できる画質となるでしょう。


 画質の問題はインターネット上の画像に関しても同様ですが、それ以外のPIM機能やメール機能に関しては問題無く利用できます。

 画質に関してはどの機能に重きを置くかによって評価が分かれるでしょう。


 もう一点気になるのが電池消耗の速さで、ショールームの展示機も大須に並んだ展示機も「電池容量不足」警告がすぐに表示されました。(展示機だから使い倒されているというハンデがあると思いますが)

 不思議なことに一旦電源を切り再度電源を入れるとかなり長い間利用できます。

 電池に回復効果があることは理解していますが、それでも電力を食うフロントライトをつけた状態でかなり使えることからパワーマネジメント関連に何らかの問題があるのかもしれません。

 こういうことは電池交換タイミングを誤らせることになるので、的確なメッセージを出して欲しい部分です。


◆PIMとしての機能を損なっている?

 カラーポケットを使っていて最も気になるのが、他の機能の画面を出すまでのステップ数の増加です。

 パワーザウルスならアドレス帳からスケジュールはワンタッチでジャンプできますが、カラーポケットは一旦「戻る」で基本インデックスに戻りそこからスケジュールを選択するというワンステップが余分に入ります。

 また、スケジュールからアクションリストを入力する場合もパワザウはスケジュール画面にボタンが用意されているためワンタッチで入力可能ですが、カラーポケットはオリジナルインデックスに戻ってアクションリストを呼び出す必要があります。

 その他の機能についても同様で、必ずメニューを呼び出すワンステップが余分に入ります。

 わかりやすさという意味では基本となるメニューから呼び出すというのは重要な点かも知れませんが、PIMとしては改悪でしょう。

 初めのうちは分かり易いと好評でも、使い込むにつれてワンステップの差は大きなものとなります。


 また、基本インデックスは「使いやすさ」を考慮して用意されたようですが、本当の意味での「使いやすさ」を考慮していないと感じます。

 絞り込んだ機能だけ表示するのは理解できるとして、「見る」「書く」ボタンはなぜ小さいのでしょうか?

 小さな画面で更に小さなボタンという構成を敢えてとったのは熟慮の末なのでしょうか?

 もっとボタンを大きくしてタッチのし易さを追求するような「使いやすさ」もあると考えます。

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画像提供 シャープ株式会社殿
画像データから一部切り出しました
col-index-maruto.gif (32566 バイト)
画像提供 シャープ株式会社殿
画像データを加工しました

 またカラーポケットで「基本」と考える機能はユーザーにとっては「基本」ではないかもしれません。

 大胆なキーの省略によるわかりやすさの改善もカラーポケットの特徴ですが、それよりは各機能にユーザーが必要としている機能を割り当てる機能や、基本インデックスをオリジナルインデックスに変更できるような機能が必要だと考えます。


 オリジナルインデックスも問題があり、パワザウ2でできたMOREソフトを登録できなくなりました。

 カラーポケットではMOREソフトメニューが別途用意されてそれで良しと考えるかも知れませんが、MOREソフトメニューは登録されているMOREソフトを全て表示してしまいます。

 こっそり楽しむゲームや特定業務用MOREソフトが表示されると問題となる場面があるかもしれません。

 パワーザウルスではオリジナルインデックスに必要なものを登録しておき、後は隠すということができただけに改悪点とも言えます。(実際にはパワザウ2でも標準インデックスを出してMOREソフトメニューを表示すればできるが、パワザウを知っていないとできないことです)