■謎の多かったLotus Notesとのデータリンク

ビジネスでザウルスを使うユーザーから良く質問されるのがLotus Notesが稼働している環境にザウルスシリーズを組み合わせる方法です。

シャープのホームページで検索しても"Lotus Notes"とのリンクに関する情報はヒットせず、また当社ではLotus Notesを使った環境が動いていないこともあり"Notes Domino"のサーバ機能を利用してメールリンクする方法とパワザウ等のブラウザを使い"Notes Domino"のデータ検索/更新を実現するのではないかと想定していました。


■ザウルスリンク for Lotus Notes登場

今回の展示会には"ザウルスリンク for Lotus Notes(CE-KT6)"という聞き慣れない名称の製品が出品されており、これがLotus Notesとのデータリンクを実現するためのシステムデザインキットであることがわかりました。(今回gooサーチを使って検索したらシャープのホームページ上にしっかり情報がありました。)


■CE-KT6パッケージ内容

CE-KTxx型番はPIシリーズのアドインソフト開発キットCE-KT1、MOREソフト開発キットCE-KT5などのように完成されたアプリケーションではなく「システムを開発するための環境」として提供されています。

ザウルスリンク for Lotus Notes(CE-KT6)も完成されたアプリケーションではなく、Lotus Notes上でザウルスとのデータリンクを実現する様々なツール/ユーティリティ群からなる製品です。

ソフトウェア
(CD-ROM)
パワーザウルスPOPサーバ MI/BIシリーズのインターネットメール対応
パワーザウルス添付登録ツール ザウルス添付データの変換(双方向)
光リンク NotesクライアントPC-ザウルス間のデータ交換
リモートリンク PIシリーズのリモートメール対応
サンプルアプリケーション(Notes用) ザウルスのデータ項目に準じたNotesアプリサンプル
ドキュメント ノーツアプリケーション開発ガイド 光リンク/リモートリンク説明書

■データリンク形態

ザウルス-Lotus Notes間のデータリンクには電話回線経由によるモバイルアクセス(リモートアクセス)環境とノーツクライアントが動作しているパソコンとの光通信によるローカルデータリンク環境があります。

lotus_notes_system.gif (47396 バイト)
PIシリーズによるデータリンクの方法もありますが省略します。

データ通信方法 アクセス方法 ザウルスリンク側機能 Notes側機能
リモートリンク パワーザウルスのメール機能を使ったNotesメールへのアクセス(自前のリモートアクセス) パワーザウルスPOPサーバ NoteDomino POPサーバ
SMTP/MIME MTA
光リンク ノーツクライアントが動作しているPCとザウルス間で光通信 光リンク Notesクライアント
ブラウザ経由 インターネット経由 不要 Notes Dominoが提供するWebサーバを通したデータの検索と更新

■Lotus Notes対応バージョン

  光リンク パワーザウルスリモートリンク
ノーツサーバ Notes Domino R4.5J 以上 Notes Domino R4.51J 以上
ノーツクライアント Notes R4.5J 以上 Notes R4.51J 以上

■リンクできるデータ

1.インターネットメール添付データ(ザウルス<->Notes双方向)

ビジネスザウルス/パワーザウルスで作成した画像情報’、文書情報をメールに添付して送信するとノーツデータベースに登録することができます。(エージェントによる自動処理)

  ザウルス側 Notes側
メール本文 インターネットメール ノーツメール
添付データ 表計算 XLS形式
ワープロ RTF形式
フォトメモリ JPEG/GIF形式
レポートス/ケジュールなどその他の添付データ CZA形式(ザウルスマルチメディアデータ形式)

2.ノーツメール文書データ(Notes->ザウルス単方向)

インターネットメールでは送信できない「ノーツ文書リンク」情報をザウルス向けの添付データに変換して送信、ザウルス側で各種データとして利用可能。

  Notes側 ザウルス側
メール本文 ノーツメール インターネットメール
文書リンク スケジュール スケジュール
報告書 レポート
顧客情報 アドレス帳
商品情報 フォトメモリ
  アクションリスト

■導入方法

こちらに関しては具体的な情報がないため想定となります。

既にLotus Notesが導入済みの環境にザウルスとのデータリンク環境を導入するにはNotesアプリ側でザウルスとのデータリンクする項目に関して追加/拡張する必要があります。

ノーツ文書とザウルス添付データとの相互変換は「パワーザウルス添付登録ツール」で行われるのでしょう。

また、メールによるリモートリンクはNotes DominoのPOPサーバやSMTP/MIME MTAに加えパワーザウルスPOPサーバをインストールする必要があることから対パワザウメールはパワーザウルスPOPサーバで処理し添付データをノーツ文章に変換後ノーツ側のPOPサーバに登録、その逆の動作も行うようです。

Notes Domino他を社内で立ち上げたのであればCE-KT6によるザウルス対応もさほど苦労なく導入できると考えます。

システム周りをインテグレータにまかせたのであればCE-KT6の導入及びNotesアプリの設定もすべておまかせでしょう。


98/04/20追加

4/17にシャープの東京市ヶ谷ビルで開催された展示会にて再度確認したところ、Noteアプリにザウルスのデータと関連づけられた名前を持つ項目を埋め込むことでデータリンクを実現しているとのこと。 この項目は非表示でも構わないそうです。(データを読み込んで必要があればNote側の項目にデータを転送します)


■通信コストを考慮した運用

メール経由のデータ交換はさほど気にならないと思いますがブラウザ経由でデータ検索や更新を考えた場合その間は電話回線に繋ぎっぱなしになります。

公衆回線はともかく、デジタル携帯電話によるアクセスの場合はデータ入力中などの無駄なアクセス時間が結構存在するため通信料金が嵩みます。

リアルタイムに更新する必要のあるデータとメールを経由したバッチ処理型の運用を適切に行う必要があります。

また、NTTドコモがサービスを開始しているデジタル携帯電話による高速パケット通信サービス"DoPa"が利用できるとデータの送受信(パケット送受信)が無い限り通信料金が上昇しないため、WWWブラウザ経由のデータアクセスも多少はコストを抑えることができると思われます。(ただし、ザウルス側がDoPa通信カードに対応しているかが不明、パワザウのブラウザがスクロールする度にサーバにアクセスするようなので実際に通信費を抑えることができるかは不透明な部分があります)

別ページで解説している「ル・クローン」などの独立型アプリを使いデータエントリしてメールに添付して送信し、Notes側(ザウルスリンク for Lotus Notes)のエージェントで処理するといった運用も考えられます。


■Lotus Notes(Notes Domino)を使う上での問題点

実際に運用したわけではないので運用上の問題点は把握していませんが、WWWブラウザによるノーツデータの更新や検索において気になる点が一つ。

ノーツデータの更新はブラウザにおける「フォームの(スクロール)テキストボックス」を利用して行われます。

パワーザウルス(MI-506/610)のブラウザでこのテキストボックスにデータ入力する場合、全角文字で最大127文字という制限が存在します。(ビジネスザウルスは未調査)

この制限が問題になるかどうかはWWWブラウザ経由でどのようなデータを処理するかによって違いますが、報告書の提出といった用途で長文を書き込む必要がある場合などはこの制限を十分に認識しておく必要があり、場合によってはサーバ側のデータサービスコンテンツを変更する必要が生じます。

また、電子会議に参加する場合もこの制限で困る場合があると思います。


■改善情報

1998/05/18にパワーザウルスMI-610においてバージョンアップ用MOREソフトが配布されましたが、バージョンアップすると127文字制限が緩和され1200文字程度まで入力できるようになりました。


■資料請求先

シャープ株式会社 
情報システム事業本部
法人営業推進部
〒545-8255
大阪市阿倍野区長池帳22番22号
TEL 06-621-1221(大代表)
カタログ番号 151EN-48
ザウルスリンク for Lotus Notes
連携運用開発ツール CE-KT6
ザウルスリンク for Lotus Notes
資料ページ
http://www.sharp.co.jp/sc/excite/g-zaurus/notes.htm 
Lotus Notes関連はhttp://www.lotus.co.jp/ を参照して下さい。