■ザウルス通信ベンチマーク

ザウルスは通信手段として内蔵モデム、携帯電話、PHSと幅広い通信機器が利用できます。

通信速度に関してはbps(ビット/秒)の値が大きければ速いと思われがちですが、データ通信時の圧縮などで実際の通信速度(実効速度)が変わります。

実態はどのような物かをチェックしてみました。

・テスト方法

85,171バイトのテキストデータファイルをWebサーバ(free01.plala.or.jp)上に置き、それをザウルスユーザーにダウンロードしていただき通信に要した結果を記入していただきました。

当時のfree01.plala.or.jpは負荷の少ないサーバでインターネット接続もぷらら練馬センター直結となっており、IDSN 64Kならフルスピードでファイル転送が可能な状況でした。

ザウルスユーザーが使っているプロバイダ側の遅延も考慮する必要がありますが、複数のデータが同じ傾向を示しているためネットワークの負荷による差異はほとんどないと考えられます。


■総合結果

意外にも内蔵モデム(33.6Kbps)がISDNやPHS 64K通信に匹敵する実行通信速度でした。

ISDNやPHS通信の場合はデータの圧縮がかからない(圧縮プロトコルに対応していない?)ため64Kbpsなら実効速度も5300バイト/秒程度になるのに対し内蔵モデムの場合はv42.bisによる圧縮が有効に働きます。

その結果、4800バイト/秒程度の実効速度が出ています。

携帯電話に目を向けると通信速度は9600bpsとなっていますが、こちらもv42.bisの圧縮が効くのか1500バイト/秒程度は出ています。

よって

このベンチマークを実施した目的の一つはモバイル図書館の書籍データの形式を圧縮したデータ形式にするかどうかを検討するためでしたが、圧縮した場合はv42.bis等の圧縮がほとんど効かなくなることを考慮すると100KB程度のデータであれば非圧縮/圧縮の差がほとんど出ないであろうとの判断をすることができました。

13秒

MI-EX1

P-IN 64K

13秒

MI-EX1

ISDNカード

14秒

MI-310

611S 64K

14秒

MI-610

P811+MOBILE CARD DUO/64K

15秒

MI-EX1

内蔵

15秒

MI-110

611S 64K

15秒

MI-610

SH811+モバイルカードデュオ64K

16秒

MI-110

611S

16秒

MI-310

内蔵モデム

17秒

MI-110

611S(PALDIO)

17秒

MI-506

611S/64k(PALDIO)

17秒

MI-610

内蔵モデム

19秒

M310

内蔵モデム

19秒

MI-506

611S/64k(NIFTY)

20秒

MI-506

内蔵モデム

24秒

MI-P1

PHS32K

25秒

MI-610

321S

25秒

MI-EX1

P-IN 32K

25秒

MI-P2B

PHS32K

26秒

MI-310

611S 32K

27秒

MI-610

内蔵モデム

27秒

MI-506

611S/32k(PALDIO)

28秒

MI-110

611S(32k)

31秒

MI-110

内蔵モデム(infoweb)

31秒

MI-506

611S/32k(NIFTY)

31秒

MI-110

内蔵モデム

40秒

MI-P2B

PHS32K

43秒

MI-110

内蔵モデム(DTI)

45秒

MI-P1

PHS32K

57紗

MI-P

携帯9600

59秒

MI-P2B

携帯9600

83秒

MT-200

携帯9600


■PHSによる通信

PHSの場合は通信時の圧縮が効かないようで、実効通信速度は64Kの場合が85,171/15=5,320 バイト秒、32Kで85,171/27=3,150 バイト/秒といったところです。

通信時間は手動計測なので1秒の誤差がかなりの影響をするのでバイト/秒は目安的な値です。

結果から見てMI-110も611Sの 64Kを使えばかなり快適なアクセスが可能なようです。

ドッチーモに関してはデー通信カード経由なら 64Kの威力を十分に発揮できるようです。

シャープさんがドライバを出してくれないと何とも言えないのですが、内蔵アダプタで64K対応できるならP1やP2Bユーザーにとってさらに高速な通信環境が得られるかもしれません。

ただし、40秒代を付けているP1/P2Bの存在が気になるところです。

PIAFS アクセスポイントではなくプロトコル変換装置経由かとも思うのですが、私の実験では変換装置経由でも28.8Kbps相当は出ているはずなので40秒以上かかることはありません。(概ね27秒以内で完了)

そうなると内蔵PHSアダプタの処理能力不足がこの原因となるわけで、ドライバが64K対応しても結局は実力を発揮できないという可能性はあります。

64K

   

13秒

MI-EX1

P-IN 64K

14秒

MI-310

611S 64K

14秒

MI-610

P811+MOBILE CARD DUO/64K

15秒

MI-110

611S 64K

15秒

MI-610

SH811+モバイルカードデュオ64K

16秒

MI-110

611S

17秒

MI-110

611S(PALDIO)

17秒

MI-506

611S/64k(PALDIO)

19秒

MI-506

611S/64k(NIFTY)

     

32K

   

24秒

MI-P1

PHS32K

25秒

MI-610

321S

25秒

MI-EX1

P-IN 32K

25秒

MI-P2B

PHS32K

26秒

MI-310

611S 32K

27秒

MI-506

611S/32k(PALDIO)

28秒

MI-110

611S(32k)

31秒

MI-506

611S/32k(NIFTY)


■内蔵モデムを使った場合

内蔵モデムの実効通信速度は85,171/18=4,730バイト/秒程度出ています。

MI-610(27秒)は私のテスト結果ですが、どうもモデム設定を間違えたようです。

初期設定に"AT\N0" が入っており圧縮無効でした(^^; 先ほど追試したら18秒でダウンロードできました。

この結果を見ると内蔵モデムは非常に優秀な結果を出しておりPHSの 64Kとほぼ同じ速度が出ています。

ISDN公衆やIC公衆が十分に普及すれば、街角モバイルは内蔵モデムというのも悪くはないようです。

ただし、簡単という意味ならケーブル不要のデータ通信カード一体型PHSがやはり一番かな?

この点はザウルスランキングの結果によく現れています。

今回のランキングには赤外線公衆電話やICカード公衆電話の赤外線通信結果が出ていなかったので私の方で追試してみます。

これがそこそこ速いならメールなどは携帯通信、MOREソフトのダウンロードやもばりぶ書籍データなどは赤外線通信という使い分けで内蔵モデム無し生活ができそうです。

15秒

MI-EX1

内蔵

16秒

MI-310

内蔵モデム

17秒

MI-610

内蔵モデム

19秒

M310

内蔵モデム

20秒

MI-506

内蔵モデム

     

27秒

MI-610

内蔵モデム(非圧縮)

     

31秒

MI-110

内蔵モデム(infoweb)<MI-100系は 14,400bpsがモデム速度上限>

31秒

MI-110

内蔵モデム

43秒

MI-110

内蔵モデム(DTI)


■携帯電話

こちらは内蔵モデム(33.6Kbps)の3程度、PHS 32K の2倍という結果が出ています。

意外に健闘したのは携帯電話用モデムドライバがV42.bis 対応となっており、圧縮が効くからでしょう。

オリジナルデータが85,171バイトあるので実効通信速度が1,500バイト/秒となっています。(理論値は960バイト/秒前後)

PHS側は圧縮が効かないため、実効で3,150とその差は倍程度となります。

でも、データ通信無向けの割引を考えるとPHSは1分5円弱、携帯は10円程度と倍なので同じデータサイズのダウンロードや表示なら通信コストは4倍近くなる計算です。(圧縮が効かない画像はさらに時間がかかるのでもっと通話料差が広がります)

57紗

MI-P1

携帯9600

59秒

MI-P2B

携帯9600

83秒

MT-200

携帯9600


■その他機器

13秒 MI-EX ISDNカード

アイクルーズのモデム選択肢にはIDDNカードがあるのですが、それを使うとやはり64Kbps相当の実力が出ています。

でも、内蔵モデムが15秒と極めて近い数値を出しており、わざわざ別に用意してというほどのメリットは無いのかもしれません。